ビールと名古屋場所
















「名古屋の、夏の風景を撮ってこい」

と、言われたら、迷わず、
八事の緑の多い静かな住宅街で、
せみが、ジャワジャワ鳴く中、
3人連れで、のしのしと、そっくりかえって歩く、
浴衣姿のお相撲さんの画を、撮ってきます。

生まれも育ちも、名古屋人にとっては、名古屋場所は、
夏の風物詩でした。

NHKの中継はなくなったものの、
名古屋場所は開催されてよっかた。
おまけに、白鵬、連勝、おめでとうございます。


自分が小さいため、
デカイひとばかりの中で、小さな身体のスポーツ選手を見ると、
無条件で応援してしまいます。
横綱・白鵬も、そのひとり。

ついでに、ここ最近の、超お気に入りのCMは、
富士ゼロックスでした。
「簡潔明瞭、説明いらず」の、こーゆーCMが、自分の目標。
        ↓
http://www.youtube.com/watch?v=qgCW_O7ABNY


しかし、過去に、ひとりだけ、「バカでかい」お相撲さんの
大ファンだったことがあります。

「昭和の怪物」と呼ばれた、横綱・北の湖です。

(薬物問題で外国人力士が二人追放されたとき、責任とって謝ってた、
北の湖親方、元・理事長です。)

現役当時、
あまりにも、でかくて、強すぎて、負け知らずで、こわい顔で、
勝つたび、お客さんから、座布団なげつけられて、
嫌われていた、
相撲界の悪役だった、あの、横綱・北の湖です。

なぜ、そんな、悪役の、大ファンだったかというと、
北の湖に、ビールをお酌したからです。


私が、小5?のときの夏、名古屋場所で、
近所の定食屋さんに、いわゆる、「タニマチ」さんらしき人が、
北の湖関を連れてやってきたのです。

たまたま、そこらへんで遊んでいた、うちらガキんちょは、
「お相撲さんがきたよ!」と
招集をかけられ、のぞきに行くと、
定食屋さんの、小さなイスを2つ使って座っている、
「浴衣を着たキングコング」の、
後ろ姿が見えました。

大げさではなく、その体の大きさは、Uカメラマンの3倍です。
どう見ても、人間ではない。


近所の大人たちから、ガキんちょ連の中でたまたま、年長だった私が、
ビールを注ぐ任務を命ぜられ、
おそるおそる、前にまわると、

ぶっちょうづらの「人面キングコング」

が、おちょこのような、中ジョッキを持った手を、
ぬっと差し出しました。

「おそるおそる」のくせに、「きょうみしんしん」の、小学5年生は、
キングコングの顔を、まじまじ、見つめながら、お酌をしていると、
突然、キングコングが、顔を近づけ、

「キミには、まだ、お返しできないね」と、
にっこり笑ったのです。

テレビでは、誰も見たことのない、悪役・北の湖の、
とてもやさしい笑顔を、見てしまったその日から、
気分は、すっかり、
「キングコングに恋心をいだいてしまった、ナオミ・ワッツ」。

無敵な強さと、大きな体に似つかわしくない、やさしい笑顔、
小5の私は、「お相撲さんとなら、結婚してもいい」 
と、マジで考えました。

…なのに、
結婚した相手は、「木村庄之助」でした。

ああ、人生って、ニアミス。

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