インディカ と日本晴


















マレーシアの激うまナシゴレン(2011・9月ゆみ撮影)



フツーの日本人が、世界に自慢できるものはなんぞや、
と、日々考えていたところ、
「これだ!」というものが見つかりました。

・・・というか、あまりにも身近すぎて、しかも、ちっこすぎて、
うっかり、見落としてました。


それは、「お米」です。


日本で暮らしていたことのある、アメリカ人の友人は、
アメリカで、わざわざ私に、
中華と和食が一緒になったようなレストランへ連れて行き、
「白いゴハン」を食べさせ、

「このゴハン、どう思う?」と聞くので、
「・・・っていうか、これは、ゴハンと呼んでは、いかん。」
と答えたら、

だろだろ?と、言いながら、ウェーターさん呼びつけ、

「日本人が、こんなのゴハンじゃないと言ってるぞ。
日本のゴハンは、もっとふっくらしてて、モイスチャーなんだぞ。
ちゃんとした、ゴハンだせよー。」

と、うれしそーに、勝手に訳して、いちゃもんつけてました。


だいたい、あれは、ジャポニカ米ではなく、インディカ米だったので、
どうやって炊こうが、ふっくらも、モイスチャーも、ムリです。
インディカ米が悪いのではなく、レストランが悪いのではなく、
アメリカの中途半端なレストランで、
日本のゴハンを求める、私の友人が悪い。


お米は、大きく分けると3種類あります。
日本人がふだん食べている「ジャポニカ米」、
チャーハンやナシゴレンにすると、激ウマの長粒米「インディカ米」、
ジャポニカ米と、インディカ米の中間で、リゾットにぴったりな「ジャバニカ米」。

ジャバニカ米は、その名の通り、「ジャバ」で作られていたらしく、
希少品種のため、まだ、食べたことがありません。


というわけで、
いろーーーーーんな理由を省略し、結論から言いますと、
TPPに参加しても、日本の米農家は大丈夫です。

もっというと、すんごい困るのは農協だけで、米農家は大丈夫です。
(詳細は、山下一仁著・「農協の陰謀」)


世界で一番生産されているのは、「インディカ米」です。8割ぐらい。
ジャポニカ米は、2割。

日本の農家を守るべく、輸入米に800%の関税が
かかっていますが、
たとえ関税ゼロで、10キロ500円ぐらいで売られていても、
炊飯器で、うまく炊けないインディカ米を買わないでしょう。


農産物は、「丹精こめる」だけでは、おいしいものは作れません。
その作物にあった、条件が一番重要です。
同じジャポニカ米でも、日本産のお米と、
カルフォルニア産や、タイ産のお米では、
同じ味にはなりません。


また、日本は、「お米信仰」というものがあります。
「お・こめ」「ご・はん」と、いちいち敬語になっているのも、
「ごはんつぶを残すと、バチがあたる」と、
子どもの頃から、脅され続けてきたのも、その例です。


日本のお米は「ベンツ」にたとえられますが、まったくその通り。
これまで、ベンツの味しか知らない日本人が、
インドのタタモータースの、軽自動車が輸入されてきても、
「へえ、珍しいね」だけで、買わないでしょう。


約20年前の、米不足事件の時をはっきり覚えています。

おばちゃんたちが、行列を作って並んでいたのは、
「おひとりさま一袋限定」の、
日本産「こしひかり」「あきたこまち」で、
せっかく輸入した、輸入米の列には、
「インディカ米で、おいしいカレーを作ろう!」
のキャンペーンのポップの旗だけが、
さみしく揺れていました。

ちなみに、当時、大学生だった私は、
それをテーマに卒論を書くハメになったため、
「おまえは、タイのスパイじゃないのか?!」
と思われるぐらい、
ありとあらゆるスーパーで、輸入米の列を、
こっそり偵察していたのです。


おそらく、「政治」や「経済」などから、はるかにかけ離れたところ、
雲の上あたりに、「日本米」は位置しているのです。
日本の米農家を守るのは、JAではなく、
無意識に備わってしまっている、
日本人ひとりひとりのDNAだと思います。

海外に、アメリカに、「日本産の日本米」が、ばんばん輸出され、
日本米の味が知れ渡れば、
日本の自慢は、「アニメ」の次ぐらいになるんじゃないでしょうか?

そしてまた、安いインディカ米が輸入され、大喜びするのは、
一部の、外食産業でしょう。
お店の、チャーハンや、パエリアが、
本物のインディカ米で作られるなら、私も、大喜び。


TPPには、マレーシアも加盟しているため、
マレーシア在住の友人も、おいしい日本米が、
手軽に手に入ります。



私も、友人のために、
5kgのお米をかついで、飛行機に乗る必要はなくなりそうです。

ああ、もう、ほんとにほっとした。
機内で、袋破れちゃって、お米ばらまいたら、
どーしよーかと、心配でした。
めちゃ、迷惑な日本人やないか。
これだけの理由でも、TPP賛成。


海外のみなさん、
もし、日本米がそちらに輸出されたあかつきには、
おなじみのインディカ米に、ちょっと近い感じのする
「日本晴」から、試してみては、いかがでしょうか?