Rocky と Philadelphia

Philadelphiaに行ってきました


ペンシルヴァニア州・フィラデルフィア市は、
アメリカ独立宣言の街、
数々の映画の舞台になっています。


中でも、有名なのは、"Rocky".



映画の中で、Rockyが、駆け上って、トレーニングする、
フィラデルフィア美術館の階段は、
「ロッキー・ステップ」と呼ばれ、観光客が、マネして駆け上がっては、
上でガッツポーズを キメるのは、
もう、おやくそく。




美術館の横にある、Rockyの銅像の前で、銅像と同じ
ガッツポーズで 記念写真を撮るのも、
これまた、おやくそく。
いや、たぶん、規則。



フィラデルフィアにとって、Rockyは、
映画の登場人物ではなく、
実在する「名誉市民」「わが街の誇り」といったカンジです。

美術館をはじめ、Rockyのロケ現場跡地を、集中的に巡り、同じカット割りで 撮影したりして、 さんざん自己満足したあと、
うちへ帰ってきてからというもの、

"Rocky"
"Rocky2-3-4-5"
"Rocky Balboa(ロッキー・ザ・ファイナル)"

と、とりつかれたように、6本立て続けに、観なおし、
「あっ、ここ、見た見た!」と、再確認していました。

別に、シルヴェスター・スタローン氏のファンでもないのに、

なぜ、こんなに執着したかというと、
はじめて"Rocky"を観たとき、

まさに、キョーレツなボディーブローを、くらったカンジがしたからです。

「…なんちゅう、貧乏くさい映画」。

その、貧乏くさい映画は、「赤と茶色」が印象的で、のちに、自分で検証したところ、
赤は、Rockyの血と、グローブの色、
茶色は、フィラデルフィアのレンガの家々と、さびついた壁、黒人のボクサーでした。


また、Rockyが、内気なエイドリアンを口説き落とすシーンで、
こっちまで緊張してくるような、ぎこちな~いkissシーンは、
とてもアメリカ映画とは思えませんでした。

これも、のちに検証したところ、エイドリアン役の女優タリア・シャイアさんは、
フランシス・F・コッポラ監督の実の妹さんでした。
そりゃ、緊張するわ。スタローン氏は、まだ無名です。



「KOされたのごとく感動した映画」とは、ちょっと違う、キョーレツな、
ボディーブローは、じわじわと効いて、後遺症として残りました。

映画"Rocky"は、
当時、無名で、貧乏で、ポルノ俳優だった、スタローン氏が、
3日間でシナリオを書いて、持込みで制作された、20世紀の大当たり作品です。

制作は、もちろん、超・低予算。
試合の観客は、フライドチキンで雇ったエキストラで、
食べ終わったら帰っちゃうし、
パンチされて、だんだん腫れ上がっていく顔を、メイクで作ると、
お金がかかるということで、メイクを落としながら、撮っていったそうです。


つまり、ボクシングの試合シーンは、順撮りではなく、15ラウンドめからの、逆撮り。
(これを知ってから観ると、途中で、気が遠くなってきます。)

また、フィラデルフィアのみなさんは、
「本物のボクサーのドキュメンタリー映画」と
カンチガイし、街を走るスタローン氏に、
「がんばれよ~」と声をかけて、りんごを投げてくれるシーンが、
そのまま使われています。 スタローン氏、まだ、無名ですから。

貧乏くさいエピソードは、山ほどありますが、 この、お金がなかったゆえに、
撮れちゃった画と、 「火事場のばか力」は、
お金をつぎこんでも、二度と取り戻せないことでしょう。

スタローン氏、本人でも。

"Rocky"は、シリーズを重ねるごとに、ロケ地が増えますが、
"ロッキー・ザ・ファイナル"では、
再び、フィラデルフィアが、メインとなっています。

映画批評はさておき、なんとも、義理堅い。

最愛の妻・エイドリアンを亡くし、老体で戦うRockyに恋する、シングルマザーの女性が、
初回で出演していた、近所の悪ガキ少女だというのも、なんとも義理堅い。
30年前に映画で観たフィラデルフィア街は、
高層ビルも増え、いくぶん、こぎれいになっていましたが、
Rockyが走り回っていた下町は、ほぼ同じ、

「赤と茶色」の貧乏臭さと、きな臭さが残っていました。
フィラデルフィアの「火事場のばか力」の種火のような、
才気溢れるだれかが、 どこかで、くすぶっていて、
「いつでも、発火してやるぜ。」と、言っているような、においがしました。


種火といえば…、

Rockyのリングネームは、"イタリアン・スタリオン(Italian Stallion)"
「イタリアの種馬」です。
シリーズを通し、対戦相手のボクサーから、
スタリオン、スタリオン、と呼ばれていました。子どもの前でも。

映画批評はさておき、


スタローン氏も、まさか、シリーズが6本も続き、Rockyが60歳で戦うことまで
想定していれば、 「種馬」、なんて、リングネームは、
つけなかったことでしょう。





































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